投資家なら誰もが経験する「やれやれ売り」の罠
やれやれ売りとは、含み損が回復したタイミングで「やれやれ、助かった」と売却してしまう心理的な罠で、多くの投資家が経験するパターンです。
「もう少し待っておけばよかった」「あのとき売らなければよかった」
投資をしているとそんなタラレバが良くありますよね。
先日チェックしていたら、昨年6月に売却した投資信託が、その後2.6倍以上に上昇していました…。
保有し続けていれば、かなりの利益になっていたはず。
同じような後悔をしないために、今回はこの経験から学んだことを書きたいと思います。
きっかけはエヌビディア。半導体セクターへの注目
2023年頃からエヌビディアをはじめとする半導体関連企業の話題が急増していました。
生成AIの普及に伴い、AIの処理に欠かせない半導体への需要が爆発的に高まっていた時期です。
別記事でも少し触れていた通り、個別株としてエヌビディアも購入していましたが、「半導体セクター全体の成長に投資できないかな。」と考えるようになっていました。
そんなときに知ったのが、SOX指数に連動するインデックスファンドの存在でした。
SOX指数とは?個別株よりリスクを抑えられる仕組み
SOX指数とは、米国のフィラデルフィア証券取引所が算出する半導体関連企業の株価指数です。
正式名称は「PHLX半導体セクター指数」といい、エヌビディア・ブロードコム・インテル・TSMCなど、世界を代表する半導体メーカー約30社で構成されています。
SOXファンドとは、このSOX指数に連動するインデックスファンドのことです。
個別株を1社ずつ選ぶのではなく、半導体セクター全体にまとめて投資できるのが特徴です。
「エヌビディアだけに集中するリスクは避けたい。でも半導体の成長には乗りたい。」
そう考えていた私にとって、SOXファンドはちょうどよい選択肢に見えました。
そして、2024年5月に基準価格約18,000円で購入を決めました。
順調だった最初の1年
購入後しばらくは順調でした。
半導体需要の拡大を背景に基準価格は上昇を続け、一時は購入時から約25%上昇しました。
「やはり半導体への注目は正しかった」と手応えを感じていた時期です。
このまま保有し続けようと、その頃は特に売却は考えていませんでした。
含み損からの回復で、なぜ「やれやれ売り」をしてしまうのか
状況が変わったのは2025年2月頃からです。
トランプ政権による関税政策の影響で、半導体関連株が大きく売られる局面が続きました。
25%上昇していた基準価格は一転して下落し、含み損が発生。
「やはり個別セクターへの集中投資はリスクが高い」という不安が頭をよぎりました。
その後、相場が徐々に回復してきて、現金の比率を少し上げておきたいという事情も重なり、2025年6月に基準価格がようやくプラスに転じた瞬間に売却しました。
「やっとプラスに戻った!あー損がでなくて本当よかった!」
含み損を抱えていたストレスから解放されたくて、プラスに転じた安堵感のまま売ってしまいました。
まさに典型的なやれやれ売りですね…。
売却後にファンドはさらに上昇
2026年に入りAI投資への期待がさらに高まると、半導体需要への注目が再び集まり、SOXファンドの価格はぐんぐん上昇。
現在の基準価格は約52,000円と、私が購入した際の18,000円から2.8倍以上になっています。
保有し続けていれば、それだけ大きな利益になっていました。
「あのとき売らなければ…」
この後悔は、なかなか消えないものです。
後悔しないための「売却ルール」3つの視点
前回の東京メトロの記事では「買う前に売買ルールを決めておくべきだった」と書きました。
今回の失敗はその続編とも言えます。
「売るときのルール」を持っていなかったことが、後悔につながりました。
振り返ってみると、私には明確な売却基準がありませんでした。
- 何%上昇したら利益確定するか
- 長期保有と決めたなら、どんな状況になったら方針を変えるのか
- 含み損が回復したことと、売却するべきタイミングは別の話
「やれやれ売り」をしてしまう背景には、含み損のストレスがあります。
一度含み損を経験すると、「早く解放されたい」という心理が判断を歪めます。
これを防ぐには、感情が動く前に「自分はこのファンドをいつまで、どんな目的で持つのか」を決めておく必要があります。
長期保有を前提に買ったなら、一時的な含み損はある程度織り込んでおく。
そして回復したからといって即座に売るのではなく、当初の目的に立ち返って判断する。
ただ、頭ではわかっていても、実際にやるのは難しいですよね…。
まとまった資産を持つ方こそ、「買う理由」と同じくらい「売る条件」を最初に決めておくことが大切だと、この経験から強く感じています。
私は「やれやれ売り」予備軍をまだいくつか抱えています…
いま一度どんな目的で購入し、どうなったら売却するのかを改めて決めておきたいと思っています。
※このブログは筆者個人の体験・見解をもとにした記録です。
特定の投資商品・手法を推奨・勧誘するものではありません。
投資判断はご自身の責任において行ってください。

